CRMとは、顧客管理システムと言われることも少なくありません。社内の商談情報を蓄積し、これを製品別や顧客別に分類することによって、新たな提案を行う際に参考にするものですが、その使い方で市場適応能力を高めることにつながるため、商品開発の分野にまで利用することができる場合も多いものです。しかし多くの企業ではあくまでも顧客に対して最適なものを提案すると言う、顧客対応にのみ利用されていることが少なくありません。その理由はCRMを管理しているのは主に営業部門であり、他の部署に対してはその情報を展開しないことが多いためです。
多くの企業は商品を販売する際には営業主導で動いていることが多く、開発部門や製造部門は営業の指示で必要な商品を製造し、これを提供する形となっています。近年では提案型営業と言う言葉も聞かれるようになっていますが、これはあくまでも顧客の状況を元にしそのシナリオを営業部門が描くことで成立していると言うケースが多くなっています。しかしこれでは短期的な利益が望めるものの、長期的には顧客の状況によって風向きがくるくる変わるため、長期的な利益の継続確保は難しい場合が多いものです。市場適応能力を高めるCRMとは、その情報を社内の様々な部門に展開し、総合的に事業計画に反映させる仕組みを持つものです。
顧客管理システムと呼ばれるCRMとは適用範囲が大きく異なり、企業全体の方向性を決める上で重要な情報源となります。